繰り返す過ち

   

 これは――これは、紛れもない強敵だ。
 目の前に広げられた惨劇を前に、ボクは脂汗を浮かべる。
 もはや、右も左も動けない。
 助けを求めようにも、仲間達はみな地に伏せてしまってる。
 誰一人として余力など残っては居ない。
 誰も――誰も、助けてはくれない。
 何故こんなことになったんだろう……何がこんなに悪かったんだろう……
 いや、そんなことは分かり切っている。
 挑戦しようと言い出したのはボク自身だ。
 倒れた仲間達は、すでに死んだ目線だけでボクに訴えかけてくる。


 やめたほうがいい……


 過ちを繰り返すつもりか……


 やはり、敵はあまりにも強く、残酷なまでに苛烈だった。
 戦いが始まって数十分。雌雄は決した。
 ボク達の完敗だ。
 ……いや、まだだ。
 まだ、ボクは戦える。
 自分が諦め無ければ、負けなんかじゃない!!
 諦めるなんて、言葉は自分を納得させる言葉にすぎないんだ。
 自分自身を奮い立たせ、ボクは力を込めて立ち上がる。
 瞬間、胃の中のものが逆流する。
「う……」
 慌ててボクは、両手で口を押さえる。
 ボクは目の前に並べられた、『三十分で食べれたら無料の特大ラーメン』を睨み付けた。