「うわああぁぁぁ!」
公園の中を絶叫が響き渡る。声帯が傷つくのも構わないほどの咆吼を上げ続ける。
腕の中には、血に塗れた姫花が抱かれてる。うっすらと瞳を開けて、シオンという言葉をただ繰り返しているだけだ。
人の形をした闇は異常に気付く。世界の構成がねじ曲がる。
「――く」
自らの不利を悟り、その場からの離脱をはかる。
しかし、そのことは敵わなかった。
世界全体が発光し、パキンというひび割れる音がする。
遅れてからやってくる衝撃に、人の形をした闇は全身を刻まれる。吹き飛ばされないようにその場を踏みしめ、顔を左手で庇うのがやっとである。
シオンは尚も叫び続けてる。視界を埋める閃光の勢いは収まらない。それはまるで世界全てを光で照らし、影という闇の存在を許さないかの如くだ。
足が宙に浮く。重力の概念が覆されたのか。いや、違う。仮想的に地球以上の質量の物が存在しているのだ。だから、引き付けられる。
しかし、それは時間にしてみると、ほんの一瞬の時間に過ぎなかった。
荒れ果てた公園の中には二人だけが残される。
一人は、血塗れで動かない少女。
一人は、無力な少年。荒れ果てた公園の中で、気を失うまで叫び続けてる。